アサシン「子どもと『生きる』という言葉」(細田守『おおかみこどもの雨と雪』)
おおかみと人間から生まれた、おおかみ子どもの雨と雪。かたや人間のように臆病な子ども、かたやオオカミのように獰猛な子ども。その二人の子どもを育てていく母親と、その子どもの成長を描いた物語である。
「しっかり生きて!!!」と叫んだ母親の「花」の言葉がある。これは本書の最後、おおかみとしていきていくことになった花の子どもにかけた言葉である。この言葉は、人間として育てるのかオオカミとして子どもを育てるのか、花の悩みに悩みぬいた中から出てきた言葉のように思える。
また、この言葉を聞いて思い浮かんだ両親の言葉がある。「○○のようになりなさい」、「○○のように生きたほうがいいんじゃないの?」という言葉かけである。そんな言葉をかけていた両親も、どのように自分を育てたらいいのかと悩んでいながらも言葉をかけていたのではないだろうか。
自分も社会人の一歩を踏み出す24歳という年齢になった。これから先、自分も両親と同じように子どもを授かっていくだろう。「しっかり生きる。」この言葉を、自分の子どもに真剣に言葉をかけてあげたいと思わせてくれたのが本書であった。
(470字)(24歳、男性)
●使用図書
●運営コメント
応募要項で「◇文字数は、本文2000字以内とします。」としていたのに対し、470字という字数はかなり少ないように思われるかもしれません。しかしそれは、「最大字数は2000字」というだけの話なので、2000字以内であり、且つ「読書感想文」として成り立っていれば、何字でも構いません。
本作品は、少ない字数でも「読書感想文」として成り立っている良い例となる作品です。
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