第4回コンクール 特別優秀賞作品


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バターコさん「『だれでも書ける最高の読書感想文』を読んで」( 齋藤孝『だれでも書ける最高の読書感想文』)


 私がこの本を読んだ理由は、たった一つ。「また入賞したい」と強く思ったからです。

 実は私、大人の読書感想文コンクール第三回で佳良賞を頂いたんです。その時、メールでその事実を知って本当に嬉しくてたまらなかったです。いい年をした大人のくせに「やった!」と言ってしまうくらい嬉しかったのです。

 そもそも大人の読書感想文コンクールになぜ私が応募したかというと、8歳の娘と『びりっかすの神様』という本を読んで、娘 vs. 私で感想文対決をしたのがきっかけでした。
 私は久しぶりの読書感想文に燃えました。やる気満々、本気で書きました。そして一生懸命書いた読書感想文、このまま忘れられるのはもったいないなあと思い、本当に軽い気持ちでコンクールに応募してみました。

 結果は佳良賞という素晴らしい賞を頂けたんです。自分のいつもの言葉を使えば、なんまら嬉しかったです。もう頭の中は何人もの審査員の方々が真剣な面持ちで「バターコさんの文章は素晴らしいね! キラリと光るものがある」とか話し合われていたのかなあなど、想像すればするほど楽しくて仕方なくて、その時は自分に都合良く妄想しまくっていました。
 でも何よりも嬉しかった事は、親でも担任の先生でもない大人の方々が自分が書いた拙い感想文を真摯な気持ちで読んで下さった事でした。

 受賞作品の発表後、早速、他の入賞した方々の感想文も全て読んでみました。
 打ちのめされました。
 皆さん、なんて素晴らしい文章を書くんだろうと心底思いました。大人が書く読書感想文を読むのは初めてだったんですが、文章に引き込まれましたし、文体や書き方がそれぞれに違っていて、どの方々も賞を取るに相応しい素晴らしい読書感想文ばかりでした。

 皆さんの成想文を読み終わってから改めて自分の感想文を読み返してみたら、まるで小学生 が書いたような拙い感想文がそこにありました。さっきまでの嬉しくて仕方なかった高揚感はあっという間に消えてしまい、審査をなさった方々に「私なんかの文章のどこが良くて選んで下さったんですか?」と詰め寄りたい気持ちになりました。
 そこで私は決意しました。次は高尚な文学作品を読んで、もっと知的で個性的で、誰が読んでも知性を感じられる読書感想文を書こうと。そして狙うは一つ、最優秀作品賞! 1位になりたい!
 身の程知らずにも程があるんですが、その時の私はとにかく知性溢れる大人しか書けないような高尚な読書感想文を書きたかったんです。そこで選んだのが本書です。

 当初は、この本の感想文を書く気は全くなくて、この本を指南書としてまず読んでから、文学作品を読もうと思っていました。 本書は、読書感想文が苦手な人でも楽しく感想文を書けるように、誰が読んでも分かりやすいように、文体が柔らかく語りかける感じで丁寧に書かれていて、感想文が苦手な人でもこの本を読めばきっと読書感想文が楽しく書けるようになる、という感じの本です。

 とにかく必死で読みました。でも読み進める内に段々、分からなくなってきてしまいました。
 読書感想文ってなんだろう? 誰かに評価されたいから、賞が欲しいから頑張るの? 誰かに賞を取るなんて凄いね!って褒められたいから頑張るのか? それってまるで、いいね!を押して欲しいがゆえにリア充ぶりをネット上で必死にアピールする人達とやってる事が全く一緒……。
 この本を読めば読むほど、小手先の技術や書き方を会得して一体何になるんだろうと考えるようになりました。本を読んでいる間も必死で高尚な文章を書かなきゃと強く思ってしまい、本を読む事そのものを全然楽しめていない自分……。

 これじゃダメだ。本末転倒だと思いました。そしてもう一度、まっさらな気持ちで頭から、この本を読んでみました。そうしたら1回目に読んだ時とは全然違って、自分の心に刺さる言葉を沢山見つける事が出来ました。
 「応募する事に意義がある。入選しなくても構わない。人の評価を恐れない事が大事。自分にとって、これを書いた事が最高だったと思えれば、それでいい」 この言葉を見つけた時、これだ!と思いました。素晴らしい本を読んで、自分がどう感じたかを書いて文章を推敲しつつ、またその本をあらゆる角度から読み返す。これら全ての時間が自分みたいな読書大好き人間にとっては最高に幸せな瞬間だなと思いました。

 大人になって久しぶりに読書感想文と真っ向勝負をして、この本のお陰でますます本を読む事、誰かに自分が書いた拙い文章を読んで頂ける事の幸せを噛み締める事が出来ました。

(1839字)(37歳、女性)


 ●使用図書


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