第9回コンクール特別賞作品


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みさき「夫婦とは」(山田詠美『A2Z』)


 「ポリアモリー」 この単語をご存じだろうか。
 複数のパートナーと愛の関係を築く恋愛スタイルのことだ。日本語訳だと多重恋愛というらしい。パートナー同士が互いの愛人を許可して成り立っている。

 私は「ポリアモリー 小説」で検索をし、この本を知った。
 検索をしたのはもちろん、憧れていたからだ。

 学生時代から異性遊びが好きだった。
 「若い頃に遊び終わらないと、年を取ってから遊ぶ痛い大人になるらしい」 決まってこの、根拠のないセリフを友人達と言い合っていた。
 なので、主人との馴れ初めは私らしく、「多重恋愛」からだった。 人から盗っただけあり、素敵な主人だ。
 そして、たしかに20代後半の「遊び終わった大人」になった私は、 主人の帰りを待つだけの女になっている。

 この小説はそんな私の願望だ。

 夏美と一浩の夫婦がそれぞれに恋人を作り、パートナーとの信頼を探り合う。
 一浩は、愛人には妻の話をしないが、妻には愛人の話をする。話さない優しさと話す優しさを使い分けているようだが、湯船で一緒に温まる妻に「男できた?」と聞く夫。夫に「彼女からなんと呼ばれているの?」と問う妻。夫婦の距離を互いの質問に答えながら測定する二人の様が奇妙だ。
 この奇妙さが、薄れていた私の嗜好を沸騰させた。
 私も夫に彼氏の話をしてみたい。夫が誰と、どんな恋愛をしているのか気になる。

 夫婦とはなにかと考え直さなければならない。
 憧れだけで済むように 私はもう一度この本を読んで妄想しようと思う。

(608字)(28歳、女性、沖縄県)


 ●使用図書


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