第4回コンクール 優良賞作品


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蔵人と左院「一歩踏み出す勇気」(森絵都『カラフル』 )


 僕は毎日モノクロの世界を見ていた。
 病弱だった僕は小学生の頃から入院すること多く、真っ白な病室と窓から見える灰色のビルの壁の光景ばかりが記憶に残っている。そのせいもあって友達は少なかった。学校でも友達が遊んでいる輪の中に入れず、いつも端から見守っ ていた。

 主人公の真は日常の不幸な面だけを取り上げて自殺してしまう。記憶をなくした真の魂が 真の体に乗り移り自殺前と同じ生活を過ごすと、日常の中には辛いことだけでなく楽しいこともあると知る。

 目の前の光景はなぜ変わらないのか。僕の悲観的で臆病な性格から、人生の見え方を変えることを半ば諦めかけていた。自殺をする前の真もきっとそう考えていたのだろう。
 しかし、人は視点を変えれば視界も変わる。つまり、世界がどう見えるかは全部自分次第 で変えられるのだ。記憶をなくした後の真が「この世はカラフルだからどの色が自分の色か 分からない」と言っている言葉は、周りを見渡しからこそ分かることなのである。
 何もせずただ悲観的に眺めているだけでは世界は変わらない。自分を変えるための一歩を 踏み出さなければと、この本を読んで思った。

 それからの僕は、友達の輪の中に入りたいと自分から発信をするようになった。最初は周 りからどう思われるのかが怖かったが、積極的に自分から声を掛けるようになったことで友 達は増え、次第に自信が持てるようになっていた。
 同じ自分でも一歩踏み出すだけで世界は変わる。変えられる。この本からそんなことを学 んだ。大人になった今でも、この本に出会えたことを心から感謝している。

(650字)(26歳、男性)


 ●使用図書


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